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或るクリスマスの出来事

クリスマスの物語を知っていますか? それはフィクションでも、昔話ではありません。もしあなたがそれを信じるなら、それはあなたの物語となるのです。
その夜、永遠の存在である神が、歴史という時の世界に来られました。目に見えない神は見えるものとなり、触れることのできなかった神は、手を伸ばせば触れることのできるものとなったのです。神はどうしてそんなことをなさったのでしょう。クリスマスの真実を美しく描いた詩を見つけました。もう説明の必要はないでしょう。神は人となられたのです。

或るクリスマスの出来事

老いた ひとりの農夫が
ゆり椅子に 身をゆだねて
暖炉の火を 見つめていた

遠く 教会の鐘が鳴っている。
クリスマス・イブ

かれは もう長いこと
教会に背を向けて生きてきた。
「神が人間になった、だと?
ばかばかしい
だれが そんなことを信じるものか。」

眼を閉じ、薪のはじける音を聞きながら
かれは まどろみかけていた。

突然
窓ガラスに 何かぶつかる烈しい物音。
それも次々に、さらにさらに烈しく。
何事かと、彼は身を起こした。

窓際に立って 見たものは
音もなく雪の降りつもる夜闇の中に
この家をめざして押し寄せてくる
おびただしい小鳥の群れだった。

雪闇に
渡りの途を誤ったのだろうか
小鳥たちは ともしびを求めて
ガラス窓に次々と打ち当たっては
むなしく軒下に落ちていく。

彼は しばし呆然と
その有様を眺めていたが
外に出るや 雪の降り積もるなか
一目散に納屋へと走った。

扉を大きく左右に開け放ち、
電灯を明か明かと灯して
干し草をゆたかに蓄えた暗い納屋へ
小鳥たちを呼び入れようとした。
かれは叫んでいた。
「こっちだ、こっちだ、こっちへ来い!」

しかし はばたく小さい命たちは
かれの必死の呼び声に応えず
なおも
ガラス窓に突き当たっては死んでいった。

農夫は 心のうちに思った。
「ああ、私が小鳥になって、彼らの言葉で
話しかけることが出来たなら!」

一瞬 彼は息を呑んだ!
かれは
瞬時にして悟ったのだ。
「神が人となられた」ということの意味を。
彼は思わず その場にひざまずいた。

今や、人となり給うた神の神秘に満ちた愛が
ひざまずく老いた農夫を静かに被い包んでいた。
彼の上に降りかかり降り積もる雪は
そのしるしとなっていた。
(佐久間 彪)


「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」(ヨハネによる福音書3:16)
「神は愛なり。」