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暗き谷間をたどるときも

詩編の真珠

イギリスの有名な説教家ジョン・スポルジョンは、ダビデの歌である詩編23篇を「これこそ詩編の中の真珠である」と絶賛しました。
「主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない」で始まるこの短い詩は、詩編の中で最もよく知られ、愛唱されている詩編にちがいありません。この詩編が多くの人の心を打つのは、詩そのものの美くしさ以上に、ここで歌われている神への信頼が、作者であるダビデの信仰体験から生まれているからです。
この詩のハイライトは「死の陰の谷を行くときも、災いを恐れない。あなたがわたしと共にいてくださる」との言葉です。

死の陰の谷

この詩の背景には、荒野を行く羊の姿があります。羊の群が「死の陰の谷」を通り過ぎようとしているのです。実際にパレスチナには、そのように呼ばれていた深い谷間があり、羊の群が猛獣に襲われることもあったようです。羊飼いの少年であったダビデにとって、「死の陰の谷」は夢物語でなく、まさに現実の恐怖でした。
この詩を詠んだ時、ダビデは敵に追われ、荒野を放浪していました。彼は荒涼たる大自然に目を向け、自分の人生に失敗が多かったことに涙し、神の前に言いようのない恐れを感じていたのです。それは、まさに人生の「死の陰の谷」でした。

慰めの発見

しかし、ダビデは「死の陰の谷」をたどりながら、共にいてくださるお方があることを発見したのです。「わたしは災いを恐れない。あなたがわたしと共にいてくださる」。
災いが無いと言っているのではありません。暗き谷間をたどる時も、神さまが共にいてくださると言っているのです。それは何と大きな慰めだったでしょうか。
ダビデは歌います。「あなたの鞭、あなたの杖、それがわたしを力づける」と。鞭は羊飼いが外敵を蹴散らすために使う道具であり、杖は羊を訓練する道具であると共に、大切な羊たちを一匹一匹数えるための道具でした。

神が共におられる

このすばらしい現実を知った時、今ままでの荒野は一転してみどりの牧場、憩いの水際に見え、迫り来る敵の恐怖さえも消え去ってしまいました。神さまが共にいてくださることを知った時、問題が問題ではなく、むしろ問題のゆえに神さまを讃美できるようになるのです。
今日、あなたは人生における荒野を、「死の陰の谷」をたどっていますか。恐れを感じていますか。ダビデと共に詩編23篇をを歌い、大きな慰めを得ましょう。
ああ、神さま、ありがとうございます。あなたはどのような時にも、わたしと共にいてくださるのですね。
「神は愛なり!」